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河合のブログ(和泉高校校長時代)

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第68回卒業式

本日は、高校第68回目の卒業式でした。前身の高等女学校から数えるともう110回を超えていると思います。とても伝統を感じます。
今年は、356名が巣立ちました。卒業おめでとうございます。以下の画像に続き、僭越ながら本日の私の式辞を掲載させていただきます。
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校長式辞
 本日は、多数のご来賓並びに保護者の皆様のご臨席を仰ぎ、大阪府立和泉高等学校第六十八回卒業証書授与式をこのように盛大に挙行できますことを、心から感謝申し上げます。
 先程、卒業証書を授与致しました356名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。これまでお子様を支えてこられたご家族の皆様にも、心からお祝い申し上げます。

 顧みますと三年前、私が本校校長を拝命したのと時を同じくして、皆さんはこの和泉高校にご入学されました。丁度、本校ではグローバル科が新設された年であり、入学式では、学科同士で良い意味で刺激し合い、また同じ和泉高校六十八期生として団結し、三年間の高校生活を送られるようお話ししたことを思い出します。皆さんは、この私の願いどおり、実に有意義な高校生活を送られ、今日のこの良き日を迎えられたと思います。本当によく頑張ってこられました。

 これから、それぞれの道に歩まれる皆さんにとって、未来は希望でしょうか、それとも不安でしょうか。将来に思いを馳せる時、将来に起きうる大まかことは予想がつく場合もありますが、完璧には誰にも分かりません。誰もが不確定なものには、不安を抱くものです。とかく昨今、マスコミでは世界における安全保障問題や経済問題、国内では景気・雇用・環境などの問題による先行き不透明観が報じられ、私たちは何かしら心の片隅に、すっきりしない靄がかかったような気分にさせられます。
 しかし、このような漠然とした不安や不透明観に支配され、憂鬱なまま時間を費やし、行動を恐れ、他の人の動向を観察していても、一度きりの人生楽しいはずがありません。未来がはっきりしていないから夢が描けるのです。不透明な未来に自分の姿を重ねながら、自分の色で塗り埋めて行こうではありませんか。

 皆さんも、授業や様々なメディアを通じて、我が国のグローバル化が急速に進行していることを見聞きしていることと思います。政治、経済、企業経営、就職、はたまた大学までもが生き残りをかけた厳しい国際競争の中に置かれ、その中で生活する私たち国民もしかりです。

 この厳しい未来予想の中で、長期的目標である自分の夢を達成するために必要な力とは何か。ある研究では、それは知能や才能ではなく、”Grit”だと述べられています。日本語でいうと「不屈の精神」、「やり遂げる力」または「根性」に当たります。Gritを持つ人のことを「長期的なゴールを決めて、どんな手を使っても、どんなに努力しても、それが実現するまではあきらめない、ということができる人」と定義する人もいます。 Grit をもっている多くの人の特質は「一つのことに集中する」ということであり、Grit をもっているかもっていないかは、才能や知能とは関係がないと言われています。

 では、このやり遂げる力であるGritを引き出すにはどうすればよいか。それは「考え方」にあると、先程とは別の研究で述べられています。その「考え方」とは、自分自身の心理に何事もポジティブに働きかけることです。これは、先程の「あなたにとって、未来は希望か、それとも不安か」という問いへの考え方にも繋がります。いつも自分で自分自身を「前向き」に評価し、その努力したプロセスを褒めることで、私たちは大人になっても自分自身でGritを引き出せるといいます。

 そうは言っても、人生の中では自分でも信じがたい困難や葛藤にも出会います。そんな時、私自身は次の言葉を自分に語りかけるようにしています。「避けられない運命には従え」・・・これはアメリカの作家であり対人スキル開発者であるデール・カーネギーが、その著書「道は開ける」で述べている言葉であり、私の座右の銘でもあります。
 「避けられない運命には従え」、自分ではどうしようもない苦しみから抜け出そうと、もがけばもがくほど苦しみの淵に落ち、その絶望感から短絡的な行動に及ぶこともあり得ます。苦しみは、いつもでも続きません。ましてや決して一生続きません。現実を受入れ、そこから次に変わる努力を始めることで、気が付けばその困難から抜け出せているものです。

 本日、皆さんのご卒業にあたり、Gritと「避けられない運命には従え」の言葉を贈りました。どうか何事もポジティブに考え、困難は運命として受け入れ、自身の目標に向かって諦めずに突き進んで行ってください。それでは、本日、希望に満ち、この和泉高校から巣立ちゆく皆さんにエールを送り、式辞と致します。
平成28年3月2日
大阪府立和泉高等学校長 河合克昭
by izumi_high | 2016-03-02 17:57
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2013年4月〜2018年3月 校長を務めた和泉高校の様子をお伝えします。


by izumi_high
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